「じゃあね、柚。また明日ー」
「うん。またね、あーさん」
「私はたぶんまた勉強だけど…良いクリスマスを」
「あゆも…頑張ってね」
「今日もありがとう、柚。色々勉強になったよ。気を付けてね」
「ななっぺも、暗いから気を付けてね」
冬の夕暮れは早い。
気付けば太陽は沈みきっていて、窓の外を見れば辺りは夕闇に包まれようとしている。
まだあゆは「寒そうだな〜」とか言ってたけど、ななっぺとあーさんに連れられて部屋を出て行った。
「これで全部かな?拓の方は片付け終わった?」
「おう。いつも片付け手伝ってもらってサンキューな。じゃあコレちょっと台所の方に持ってってくるから」
「うん」
テーブルの方の片付けも終わって、拓はカップなどを載せたトレイを持って部屋を出た。
しばしの間一人になってしまった拓の部屋で、私は自分のバッグをそっと開けた。
ななっぺもこれから安森先輩にクリスマスプレゼントを渡すみたいに言っていたけど…
実は私も、拓のためにクリスマスプレゼントを用意したんだ。
…と言っても、あまり手作りする余裕がなくて、少ない貯金から買ったものなんだけど。
バッグの中で眠っている、青いリボンでラッピングされた包みをじっと見つめていたら、拓が部屋に戻ってきた。
「お待たせー。やっと柚と二人きりになれたな!」
「しばらくバタバタしてて、デートできなかったもんね」
「俺がまだ部活引退してないからな〜。まあ、1月中には引退すると思うんだけど」
「私も推薦入試の面接練習とかしてたから。お互い落ち着けるのは、受験終わってからかな…?」

