そんな中一番に拓の部屋を出て行ったのは、クリスマスなんて関係なしの倉本くん。
塾も追い込みモードで、冬休みもクリスマスもお正月もない状態らしい。
きっと倉本くん自身も大変だと思うけど、今日もあーさんにしっかり問題の解き方を解説していた。
あかねちゃんは倉本くんとあーさんを少しからかっていたけど、本人達はあくまでも戦友同士という感じで、全く恋愛モードではないみたいだった。
まあ確かに…これから難関のH高校受けるのに、誰かと付き合ってる場合じゃないよね…。
でも、あかねちゃんが倉本くんをからかえるぐらい余裕ができたのは良かったな…なんて思っていたりする。
あかねちゃんもだいぶ前を向いてきたって証拠だもんね。
「じゃあ柚、うちら先に帰ってるねぇ〜。瀬川、しっかり柚を送るんだよー」
「うっせえな、馬場は。言われなくても分かってるっつーの」
「あははっ。まー、せっかくのイブだし、邪魔者は消えますかぁ、映美佳」
「そうだね。うちらは二人、喫茶店でイブ過ごそうよ」
「二人とも、気をつけて帰ってね」
私がテーブルの上にある空のカップを片付けながら映美佳とあかねちゃんに手を振ると、二人も笑顔で私に手を振り返して、拓の部屋を出て行った。
そして、あゆとななっぺとあーさんの3人もようやく動き出した。

