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「あ〜外寒そう!帰りたくないなー」
「でもそろそろ帰らないと遅くなるよ、あゆ」
「準備できたから帰ろうよ、ななっぺとあゆ!」
1か月経っても、やっぱり私達は受験勉強漬け。
今日はせっかくのクリスマスイブで、明日は終業式だけど、私達勉強会メンバーは拓の家に集まって勉強していた。
でも…そろそろ夕方。
勉強会もお開きになり、同じ方向に家があるあゆとななっぺとあーさんが一緒に帰ろうとしていた。
「ななっぺはいーよねー。これから彼氏とデートじゃないの?なんてったって、世間ではクリスマスイブなんだし」
「まあ…ね。会える機会が少ないから、こういう時に会っておかないと。クリスマスプレゼントも渡したいし」
「えっ!?何あげるの?」
ななっぺはあれから志望校をR高校からA高校に変更した。
彼氏の安森先輩とも仲直りしたみたいで、この前私と拓に嬉しそうに報告してくれてたっけ。
あーさんが興味深そうにななっぺのバッグの中身を見ようとすると、ななっぺは少し嬉しそうにしながらバッグからきれいにラッピングされた袋をチラッと見せていた。
「手編みで手袋編んでみたんだ。何度もほどいて苦労したんだけど」
「えええーっ!?受験生なのにそんなコトする余裕あるの?信じらんない…」
「気晴らしにやってただけだよ。勉強だけだとしんどいし」
あゆが驚いている間に、他のみんなの帰る準備もほとんど完了したみたい。
映美佳とあかねちゃんもコートを着てマフラーを巻きながら「喫茶店に寄ってあったかいもの飲んで帰ろうよ」と話していた。
「俺、塾あるから先帰るわ。じゃーお先」
「おう、お疲れ〜。マサ」

