引っ込み思案な恋心。-3rd~final~






私は拓と同じ高校に通いたいから、A高に決めた。





だから、先輩と同じ高校に通いたいななっぺの気持ちはすごくよく分かる。





なのに、そんなにあっさり志望校を変えちゃってもいいのかな…?






「今だって学校は違うけど何とかやってこれたんだから、大丈夫だよ。ちゃんと気持ちが通じ合っていれば…」



「じゃあ、A高に変えるのか?」



「うん…、一応親と先生と先輩に相談してから決めると思うけど。A高にしたら、瀬川や柚ともまた同じになるね」






そうやって静かに微笑んだななっぺの表情は、さっきよりも明るくなったような気がした。





そんなななっぺを見て、私もニッコリと微笑み返した。






「あっ、俺追加のジュース取りに行こうとしてたんだった!お前らも勉強しろよ。A高はそんな甘くないぞー」



「スポーツ推薦ほぼ決定の瀬川に言われたくないし。柚、この問題教えてもらえる?とりあえずヒントだけ」



「あっ、うん。この問題複雑だから難しいよね。えーーっと…」






私はもう一度ななっぺから指差された問題を慌てて目で追った。





拓は少し倉本くんとじゃれ合った後、ジュースを取りに部屋を出て行った。






でも…



こういう恋の形もあるんだ…って、私は別の意味で勉強していた。





いつも一緒にいることだけが恋人達の全てじゃないんだ。






お互いの未来を応援して…




時には一緒に寄り添いたい気持ちを我慢して、夢のために相手と離れたり。






今は同じ学校で同じクラスにいる拓だけど、いつかはそんな日も来てしまうのかな…?





だけど、まだ考えることではないかな…。





私は拓と同じ高校に入れるように今はただ頑張るだけだから。






勉強会に来ている一人一人の真剣な表情を見ていると、頑張ってるのは私だけじゃないって思い知らされる。





みんな、同じように頑張っている。





だからこそ…、気を引き締めなくちゃ。






拓との未来に向かって。













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