引っ込み思案な恋心。-3rd~final~






「なるほどな〜。先生にも先輩にもR高じゃなくてA高勧められたってコトか」



「瀬川、理解が遅すぎて話にならないんだけど」



「わりいわりい。でも…そもそも細井は何でR高狙ってんだよ?先輩がいるからか?」



「うん、まあ…。あと大学に行きたいから、進学校ってこともあるし」



「別にA高も進学校ではあるだろ?大学に行きたいって気持ちから高校選ぶんだったら、A高選ぶのも自然だと思うけど」



「え…?」



「結局は先輩がいるかいないかだけで選んじまってるんじゃないのか?そーゆーの、先輩的には重いと思ってるからケンカになったんじゃねーの?」






拓の何気ない言葉には、結構ハッとさせられることが多い。





拓からしてみたら、話を聞いてみて思ったことをポロっと言ってるだけなんだろうけど…





そんな一言から、私にもななっぺ達のケンカの一因が少し見えてきたような気がした。






そっか…



安森先輩は何よりもななっぺの未来を大切に思っているんだ。





だからこそ、「自分がこの高校にいるから」なんて安易な理由で志望校を選んでほしくなかったのかもしれない。





ななっぺには、もっと上に行ける実力があるんだから…。






「…瀬川って、案外グサっと刺さるコトをたまに言うよね。実際当たってるから何も言えないんだけど」



「…何だよ、細井?俺にもケンカ売ってんのか?」



「私が間違ってたってコト。確かに先輩がいるからって甘えてたところ…あったかもしれない。先輩にはそんな私の気持ち、見抜かれてたんだね」



「でも…A高にしたら安森先輩と同じ高校に通えなくなっちゃうよ?一応は真剣に考えた方がいいんじゃないかな…?」



「いつも真剣に考えてたよ、柚。ケンカしてからは特に。でも…先輩は私を応援してるからこそ、敢えて厳しい言葉を投げかけたんだね。瀬川に言われてやっと分かったよ」



「ななっぺ…」