「柚〜、応援サンキューな!」
「拓はやっぱりすごいね」
「これで1位じゃなかったら、今までの俺の努力って何だったんだよ?ところでマサはまた3位だったよな」
「え…?そうだっけ?見てなかったかも…」
「一応クラスメイトなんだから応援しろよなー」
「ごめんごめん」
そう言えば、拓が走り終わった直後に倉本くんが走るって言ってたような…。
拓の綺麗な走りに完全に酔いしれてて、見てなかったよ。。。
「まあ、マサはまた障害物で並びに行ったから、いなくて良かったよな〜。蘇我も障害物だろ?応援しよーぜ」
「うん」
こうやって、拓と並んで応援ができる。
1年の時も拓と同じクラスだったけど、あの時は片想いだったし、拓と並ぶだけでも緊張して胸のドキドキが止まらなくて…
応援だって、声にすら出せなかった。
だけど、ずっと心の奥では夢に見てきたこと。
こうやって拓の隣で笑顔でいたかった…私。
「……どーした?蚊でも止まってる?」
「ううん。何でもない」
「じゃあいいけど…って、俺、ハチマキどこやったっけ?」
「え?さっき体操服のポケットに入れてたよ」
「あっ、そーだった」
頭にハチマキを巻いてないことに気付いて慌てた拓に少し笑ったら、拓はポケットからハチマキを出しながら「そんなに面白いかー?」とか言いながら微笑んでいた。
…あの頃からは考えられない関係になったよね、私達。
こうやって拓と同じテントにいると、私も1年生の時に戻ったみたいに、ドキドキが少しずつよみがえってくるんだ。
あの時は、拓に見られたり、応援されたりするだけでも幸せだった。
でも…今はそれ以上にもっともっと幸せ。
「あっ、障害物始まったみたいだな」
「ホントだ。応援しなくちゃ」

