拓はT学園高校に陸上で誘われてるし、私は学力的にはH高校勧められちゃうし。
二人でA高なんて夢は…、もしかしたら叶わないかもしれない。
でも、今日は私の話をしに来たんじゃないんだけど。
そう思って話を詰まらせると、アイスティーを一口飲んだあかねちゃんがニッコリ笑顔で私を見てきた。
「私じゃ頼りないかもしれないけどさ、話してくれると嬉しーもんだよ?」
「……じゃあその言葉、そのままあかねちゃんに返すよ」
「えー?どしたの、急に」
私の真剣な顔に、あかねちゃんが一瞬笑顔を崩した気がした。
そんなあかねちゃんを見て、私は言葉を続けた。
「あかねちゃん、あれから全然倉本くんのことについて相談してくれないよね?私にはあれであかねちゃんの気が済んだとは思えないよ。私があかねちゃんと同じ立場なら…、絶対吹っ切れないと思うから」
「ゆっ、柚!?」
「私、あかねちゃんの変に元気なところ見るの、結構辛いんだよ?相当無理してるんじゃない?」
「え……」
すると、あかねちゃんはうつむいて、アイスティーのグラスを両手で持ったまま何かを考えているみたいだった。
そして数秒後。
「何で分かっちゃうんだろ…」
うつむいたままのあかねちゃんがポツリとそう言った。
そしてゆっくりと顔を上げたあかねちゃんの表情を見ると、少し疲れた感じに映った。

