引っ込み思案な恋心。-3rd~final~






「でも柚の中間テストの成績見てビックリしちゃった。前から休み時間にも勉強してたの見てたし、勉強会でもみんなに分かりやすく教えてたから、スゴイだろうな…とは思ってたけど」



「あはは…。でもこんなことぐらいしか特技がなくて。拓みたいに走るのとかは全然ダメだし」



「私なんて成績も運動神経も中の中だし、特技と言えるものすらないよ」






もちろん仲良くなったあーさんにも私の成績が知れるところとなってしまい、その時は何故か拓の方が自慢げにしてたんだけど。。。





でも私は、足の速い拓を…、私のために走ると言ってくれた拓を…、自慢したい気持ちでいっぱい。






「柚はもう、期末の準備してるんでしょ?あと1週間くらいだもんね」



「うん。たぶんまた勉強会するから、あーさんも誘うね」



「瀬川くんも大変だね。今日の試合でいいトコ行ったら、次は県大会でしょ?テストしてる場合じゃないよね」



「そうだね。そうなったらテスト期間で部活が活動自粛になっても特別に申請して練習するって言ってたから…、休みは土曜日しかないかもしれないね」



「それくらい熱中できるもの…、私にもあればいいのにな」



「まだまだこれからだよ。それに、あーさんみたいに熱中できることを探してる人って、意外とたくさんいるんじゃないかな?」






…とか言ってみたけど、私だって今は熱中できることなんて勉強ぐらいしかない。





熱中してみたいことはあるけど…





放送部でアナウンスなんて、高校に入ってみなきゃ、できるかどうかも分からない。