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「ごめんね…。私まで来て良かったのかな?」
「応援はたくさんいた方がいいよ。それに、私だって拓と話せるわけじゃないから」
中間テストが無事に終わってホッとしたのも束の間、今度は期末テストが目の前に迫っていた。
…でも、今は勉強に集中してる場合じゃない。
こんな時でも拓は一生懸命頑張っているんだから。
いつもに比べたら雲は多いけど、爽やかに晴れたある日曜日。
私はあーさんと、郊外にある陸上競技場の観客席にいた。
「柚は…、いつも瀬川くんの試合をこうやって一人で観てるの?」
「うん。私は陸上部の関係者じゃないし、いつも遠くからしか見れないよ。拓もスタート前は集中してるし、終わったら他の部員の人応援してるから、ここまで来て話すことなんてないよ」
「だから…、誘ってくれたの?」
あーさんにそう聞かれて、私はゆっくり微笑みながらうなずいた。
「拓とかうちの中学の人が出てない時は割と暇だったから。でも色んな人見てたら面白いよ。あーさんの気分転換にもなるかなーって思って」
「うん…。他校の人とか、見る機会ないもんね」
今日は拓が一番の目標にしていた、3年生最後の大会の地区予選が行われていた。
拓は2年の途中で入部した時からずっと、短距離を中心に練習してきた。
メインは100mと200mだけど、一応400mとリレーにも出るって言ってたっけ…。

