引っ込み思案な恋心。-3rd~final~






いつもの拓の口癖だった、『俺の手は柚をあっためるためにある』って言葉。





そんなことを言われてばかりだったけど、ふと思う。





私の手も、拓をあっためるためにあるのかな…って。





思ったことを口に出したら、拓は一瞬驚いた顔をしたけど、次に嬉しそうに微笑みながら軽くキスをしてくれた。






「当たり前だろ!」






唇が離れた後、拓がそう言って、手がゆっくりと離れた…と思ったら、頭をくしゃくしゃになでられた。






「またメールする。柚は勉強するんだろ?頑張れよ」



「拓も、今日教えた所ちゃんと覚えておいてね」



「…また聞くかも」






そんな拓の言葉に笑ったら、拓も笑いながら手を振って「じゃーな」と背を向けた。





私はくしゃくしゃにされた髪の毛を直しながら、見えなくなるまで拓の後ろ姿を見送った。








…こんな私でも、拓のこと温められてるんだ…。





まだ拓の欲望に応えられてないのに、それでも拓は私のこと……








久しぶりに拓と触れられて、



キスできたことが嬉しくて。






私は拓にさっきキスされた唇をそっと指でなぞって、少し残った拓の温もりを確認しながら玄関のドアを開けた。













――
―――――