「柚…?大丈夫か?」
「拓?」
「目がうつろに見えるんだけど。今日は寝てきたか?」
「うん…、大丈夫だよ」
きっと目がうつろなのは、度重なるキスで気持ちがとろけちゃったからだと思うんだけど…。
でも恥ずかしくてそんなこと言えなかった。
「今日は俺が片付けしとく。送るから支度して?」
「え…でも……」
「けっこー遅い時間になっちまったし。引き留めてごめんな」
「うん…。片付け手伝えなくてごめんね」
「気にすんな。今日は柚に触れられただけで大満足だから」
私が帰る準備をすると、拓が手をつないで家まで送ってくれた。
拓の家は学校からとても近い所にあるけど、私の家はそこそこ遠くて、学校から歩いて15分くらいの所にある。
朝登校する時はこの距離がとても長く感じるのに、拓とこうやって歩く時は、いつもあっという間なんだよね。
「送ってくれてありがとう」
「この手…、離すの辛いな」
「うん、私も…」
「でも、俺の手はいつでも柚をあっためるためにあるから。それはどんなに離れてても、どんな形であろうと変わらないと思う」
「そんなこと言われると、くすぐったいよ」
「俺、真剣に言ってんだけど。いつもそういう気持ちで柚と手ぇつないでる」
「…私も……、私の手も、拓を温められてるかな…?」
「え?」

