引っ込み思案な恋心。-3rd~final~






「柚…?大丈夫か?」



「拓?」



「目がうつろに見えるんだけど。今日は寝てきたか?」



「うん…、大丈夫だよ」






きっと目がうつろなのは、度重なるキスで気持ちがとろけちゃったからだと思うんだけど…。





でも恥ずかしくてそんなこと言えなかった。






「今日は俺が片付けしとく。送るから支度して?」



「え…でも……」



「けっこー遅い時間になっちまったし。引き留めてごめんな」



「うん…。片付け手伝えなくてごめんね」



「気にすんな。今日は柚に触れられただけで大満足だから」






私が帰る準備をすると、拓が手をつないで家まで送ってくれた。






拓の家は学校からとても近い所にあるけど、私の家はそこそこ遠くて、学校から歩いて15分くらいの所にある。





朝登校する時はこの距離がとても長く感じるのに、拓とこうやって歩く時は、いつもあっという間なんだよね。






「送ってくれてありがとう」



「この手…、離すの辛いな」



「うん、私も…」



「でも、俺の手はいつでも柚をあっためるためにあるから。それはどんなに離れてても、どんな形であろうと変わらないと思う」



「そんなこと言われると、くすぐったいよ」



「俺、真剣に言ってんだけど。いつもそういう気持ちで柚と手ぇつないでる」



「…私も……、私の手も、拓を温められてるかな…?」



「え?」