自由行動は色々あって途中でホテルに帰っちゃったし、それからこっちに帰ってきてからの連休も、拓は陸上部の練習が忙しくて、ろくにデートもできなかった。
もちろん校内では誰が見てるか分からないし…。
そんなこんなで今日のこの瞬間になるまで、ずっと二人きりにはなれなかった。
…何か、この期間がすごく長かった気がする。
しばらく後ろから抱き締められたままの姿勢でいたけど、不意に拓が私の身体と向かい合わせになるように体勢を変えた。
拓の顔を見ると、ゆっくり微笑んでくれた。
「キス…させて?」
耳元で拓がそうささやいてきて、私は無言でうなずいた。
たぶん、私の顔…赤くなってるよ。。。
だって、この一言で体温が上がったのが分かっちゃったもん。
どんなにキスを重ねても慣れない、このドキドキ。
だけど…、慣れたくない。
拓にいつまでもドキドキしてたいと思っちゃうんだ。
何分経ったか分からないけれど、しばらく甘いキスを重ねた後、拓が口を開いた。
「俺、また柚にビンタされたくないから一応聞くんだけど…、これ以上って柚の準備がまだできてないよな…?」
「え?『これ以上』…って?」
「だから…その…、分かりやすく言うと、裸の付き合い?」
「…………えっ!?」

