三毛猫レクイエム。


「……」

 私は躊躇いながら、ドアノブを回した。鍵が、かかっていなかった。

「ヒロ?」

 私がドアを開くと、

「っ……!」

 奥で、ヒロが倒れていた。

「ヒロっ!」

 慌ててヒロに駆け寄った。

「ヒロ!」

 呼びかけても、返事をしない。荒い息で、酷く汗をかいている。私はヒロの額に触れた。酷い、熱だった。

 私の中で、闘病中に高熱で苦しんでいたあきと、ヒロの姿が重なった。

「いやぁああっ、ヒロ!」

 泣きながら、私はヒロにしがみついた。

「やだっ……誰か! 誰か……っ」

 泣きながら揺さぶると、ヒロがうっすらと目を明けた。

「……ま……こ……?」
「ヒロっ!」

 ヒロは荒い呼吸で、身体を動かそうとしている。私はそれに手を貸した。

〝落ち着け、私……〟

 私が取り乱してちゃ、いけない。そう、自分に言い聞かせながら、

「ヒロ、ベッドどこ? そこまで移動できる?」

 涙をぬぐって、ヒロの身体を支えた。力の入らない私より大きなヒロの身体は重たくて、私一人じゃ支えになりそうもなかったけど、ゆっくりとヒロを寝室へと連れて行った。
 ベッドに横たわったヒロは、すぐに目を閉じて荒い呼吸を繰り返す。

「服……」

 私はヒロに悪いと思いながらも、勝手にキャビネットをあさった。タオルやTシャツを用意して、ヒロの隣に置くと、台所で水を汲んだ。
 何かないかと冷蔵庫を開けば、スポーツドリンクがあったので、これ幸いと汲んだ水とスポーツドリンクを手に寝室に戻る。