「あき……っ」
あきの気持ちが、痛いほど伝わってきた。
「これ……いつ……?」
「骨髄移植の検査結果が、皆、不適合だってわかったときだ」
「っ……」
あの時、一緒に頑張ろうと言った私に、あきは笑いかけてくれていた。それなのに、この歌詞は、私を置いていくことを決め付けたような内容だった。
「この歌詞を俺に渡しながら、タキはこうも言ってた」
そう言って続けられるヒロの言葉は、
「早まらなくて良かった、って」
私を打ちのめすには十分の威力を持っていた。
「どういう……?」
ヒロは少し躊躇った後、その言葉を続けた。
「白血病のことがわかる前に、籍入れてなくてよかったって」
「っ!」
私が知らなかったあきの言葉。ヒロの口から語られる、あきの本心。
「もし、結婚なんてしてたら、真子さんのことを縛り付けていたからって」
あき、どうして……。
私は、形だけでも、あきと繋がっていたかったのに。
「私は……っ、それでも良かったのに! 一生、あきのものでいられたのに……っ」
溢れ出す涙をぬぐおうともせず、私は叫んだ。ヒロは、私の嗚咽が収まるのを待ってから、続けた。
「真子さん、今はそう言えるかもしれない。タキが死んで、たった一年だ」
私はヒロを見た。ヒロは、それを口にすることで自分も傷ついているような、そんな痛ましい顔で、意を決したように続ける。
「だけど、時間が経ったとき、タキのことを重荷に思う日が来るかもしれない」
「そんなわけ……っ!」
「ないって言い切れる?」
「っ……!」
ヒロの瞳に見つめられ、私は反論ができなくなった。
あきのことを重荷に思うことなんてない。
そう言い切ればすむことなのに、私は言葉が紡げなかった。
「十年、二十年後の真子さんが、今と同じ気持ちを抱いてるって、言い切れる?」
「私は……っ」
そう、思いたい。
あきのことを、一生思い続けていると、そう思いたかった。


