「タキ、呼んでこようか? 一人で大丈夫?」
「一緒にいろって言われたんだけど、邪魔するの悪いから」
私の言葉に、テツが笑った。ユキがにやりと笑って、
「タキ、ツアー中、真子さんに会えなくて寂しかったみたいなのにな」
そんなことを言う。それにテツが便乗する。
「そうそう、毎日電話なんかしちゃって」
二人がかりでからかわれて、私は赤くなる。
「ふ、二人ともこんなとこにいていいの? 今日の主役でしょ!」
ちょうどそのとき、二人を呼ぶ声が聞こえた。
「あ、呼ばれてる。じゃあな、真子ちゃん」
「ちゃんと食えよ」
二人が去って、私は安堵のため息をついた。一人でぼーっとしながら、喧騒を眺めていると、
「一人なの?」
「っ」
声をかけられた。振り返ると、そこには見知った顔があった。向こうも私に気づいたみたいだ。
「あれ、君……出待ちしてくれてたことある?」
「翔……」
それは、シルクウェイヴの翔だった。
考えてみると、翔の出待ちをしていて、あきと出会ったんだ。出会う切欠になったといっても過言ではない。
「昔、よく出待ちしてました」
「やっぱり。なんか見たことあると思ったもん」
笑いながら、翔が私の隣に並んで、壁にもたれかかった。
「最近見ないけど、飽きられたかな?」
「いえ、今でもCDとかよく聞きます」
ライヴに行く機会は減ったけど、CDを買っているのは事実だ。翔はちらりとあき達の方を見て、
「今は“Cat‘s Tail”のファン?」
「あ、えっと……」
私は少し赤くなって、
「あきと……TAKIと、付き合ってるんです」
「え、そうなの?」
私の言葉に、翔は驚いたようだった。


