「ただいま」
「おかえり」
全国ツアーから帰ってきて、あきはまっすぐ私に会いに来てくれた。長い間会えなかった寂しさに、私はあきに飛びついた。
「真子、明日打ち上げするんだ。一緒においで」
「いいの?」
「ああ」
私の頭を撫でながらそう言ったあきに、私は微笑んだ。リビングに入って、荷物を片付けるあきに、私は顔をしかめた。
「今日は、ちゃんと休まなきゃ。疲れたでしょ?」
「それより真子不足」
そんなことを言って、あきが私を抱きしめた。
「ちょっと、苦しいよ」
「今は、このままでいさせて」
そんな甘い言葉を、耳元で囁かれたら、何も言えなくなってしまう。
「あき、大好き」
だから、不安になんかさせないで欲しい。
「俺も、愛してるよ、真子」
あき、私は今でも不安なんだよ。TAKIが有名になって、あきがどこか遠くに行ってしまいそうで。
「愛してる」
だからそう囁いてくれるあきの言葉を、心が、受け付けてくれなかった。
打ち上げの会場で、私は部屋の隅で目立たないように飲み物を飲んでいた。あきは、他のメンバーと一緒に、事務所のスタッフと話をしたりしている。
仕事の邪魔をしたくはないから、一緒にいろって言ったあきに断って、私はここにいた。それに、あきを遠くから眺めているだけで十分だった。
会場には、スタッフや、業界関係の人、それにバンドマンの姿も見て取れた。何人かが、場違いな私の姿を見て、首を傾げるけど、すぐに私のことなど忘れたかのように他の人の輪に入っていく。
「よっ、真子ちゃん」
突然声をかけられ、私は驚いてそちらを見た。そこにはテツとユキがいた。相変わらず赤髪のテツに、銀の長めの髪に、女の子みたいな顔のユキ。


