三毛猫レクイエム。


「それじゃあ、俺ら、部屋行くな」
「あ、明良、ダンボールは部屋に置いてあるから」
「わかった」

 頭を下げて、リビングを出てから、私はそっと息をついた。

「あきのお母さん、あきそっくりだね!」
「昔からよく言われる」

 目を細めて笑うあきは、照れているようだった。

「明菜ちゃんも可愛いし。素敵な家族」
「いつか……」

 階段を上りながら、あきが私を見た。

「真子の家族になる日が来るかもな」

 照れたように、そう言ったあき。私は驚いて立ち止まってしまった。

「ちょっと、タイミングがおかしいけどさ」

 そう言って、あきがポケットから何かを取り出した。そして私の左手をとって、

「真子、ずっと、一緒にいて」
「あき……」

 薬指にシルバーの指輪を通した。そして自分の指にも、同じデザインの指輪をつける。

「いつか、綺麗な石がついてる指輪を送る日がくるって、俺、信じてるからって、うわっ」

 階段の途中で飛びついた私を、あきは慌てて抱きとめた。

「危ないだろ!」
「あきの馬鹿っ」
「ばっ……?」
「階段の途中でそういうこと言わなくてもいいじゃんっ」

 すぐに溢れそうになる涙を止めるには、そんな可愛くないことを言うしかなかったけど、やっぱり私の弱い涙腺は、こぼれ出る涙を止められなかった。

「嬉しい……」

 つぶやく私の頭を、あきはそっとなでた。