「私も、初めてヨシを見たとき、あきを思い出した」
「真子さんも?」
驚いたようなヒロに、私は頷いた。
「……そっか、目か」
「私……」
駄目だ。
「ヨシがうちに来たとき、あきが姿を変えて来たのかと思ったの……」
「真子さん……」
突然、涙をあふれさせた私に、ヒロはそっとハンカチを手渡してくれた。
「ありえないことだってことくらいわかってる。わかってるの……でも、それくらいヨシを見てると、あきを思い出す」
みゃあ
ヒロのハンカチで涙をぬぐいながら、とぎれとぎれに言葉を紡ぐ私に、ヨシの鳴き声はまるで、泣かないでと言っているようだった。
「なあ、真子」
「うん?」
付き合い始めて三ヶ月くらい経ったとき、あきがそわそわしながら私を呼んだ。
「どうしたの?」
「メジャーデビュー決まった!」
「本当にっ?」
子供みたいな笑顔で、うんと頷いたあきに、私は思わず抱きついた。
「おめでとう!」
「全部、真子のおかげ」
「あき達が頑張ったからだよ」
嬉しくて、嬉しくて、涙が出てしまった。


