「あれは? 6510」
「!」
私ははっとした。6510は、“Cat‘s Tail”のラブソングばかりを集めたアルバムのタイトルだ。
ヒロが微笑んだ。
「あれ、二人の名前なんだろう?」
笑顔で言うヒロに、私は驚く。
「知ってたの?」
「ああ、タキが教えてくれた」
あきは、よく6510という番号を使っていた。最初私は、それがなんの番号なのかわからなくて、あきに尋ねた。そうしたら、私達の名前だと教えてくれたんだ。
携帯のキーで、MAKOは6256、AKIは254、二人合わせて6510だって。
私は6510と入れてみた。
「駄目、開かない……」
絶対、これだと思ったのに。
「あきは、何を考えて……」
そう口にしてから、私ははっとした。
あきが諦めていた私達二人の未来、それは私の未来。あきの中では確かになっていた、あきのいない私の未来。
「まさか……」
私は、震える手でその番号に合わせた。
「あ……」
かちゃりと開錠された音がして、ヒロが声を上げる。私の目から涙がこぼれた。
4ケタの番号は、6256、私の名前だった。
「真子さん、大丈夫?」
鍵を開けたものの、私は日記を開けずにいた。そんな私の手を、ヒロがそっと握ってくれる。
「大丈夫、俺もついてるから」
「……うん」
ヒロの言葉に勇気を得て、私は日記を開いた。


