三毛猫レクイエム。




 あきが日記をつけていたという事実を、私は知らなかった。

「入院してから、毎日つけていたみたい。あの子、まめだから」
「知らなかった……」

 私は日記を受け取った。鍵は、4ケタの番号を合わせるタイプのもの。

「明良がね、もしも真子ちゃんが前に進めないようなら、これを渡して欲しいって。自分の思いは、ここに詰まってるからって」
「……っ」

 私は、日記を抱きしめた。

「番号、私も聞いてないの。でも、きっと真子ちゃんなら、開けられると思う」

 そしておばさんはヒロの手を引いた。

「ヒロ君、真子ちゃんを幸せにしてあげて」
「でも……」

 おばさんの言葉にも、私はヒロの手をとることはできなかったし、ヒロもためらってすぐに手を引いた。

「ヒロ君、真子ちゃん……」
「ただいま!」

 玄関から元気な声が聞こえ、明菜ちゃんが入ってきた。

「あれ? 二人ともどう……」

 不自然に言葉が途切れた。不思議に思って明菜ちゃんを見ると、明菜ちゃんは目を見開いてヨシを見ていた。

「明菜? どうしたの?」

 呆然としていた明菜ちゃんが、口を開いた。

「お兄……ちゃん……?」

 みゃあ

 一瞬、何が起こったのかわからなかった。ヒロも驚いて、明菜ちゃんを見た。おばさんが、息を呑む。
 明菜ちゃんの目から、涙がこぼれた。

「真子姉、お兄ちゃんは、ずっと真子姉のこと見守ってるよ」
「っ……」
「幸せになって欲しいって、そう願ってる」

 明菜ちゃんが、そっとヨシを抱き上げた。