「もしかしたら、二人の骨髄の型が一致するかもしれないっていうこと?」
「もしかしたら、な」
口元に笑みを浮かべていたあきが、それを期待しているということには、すぐに気づいた。
だけど、私の中の何かが警報を鳴らしていた。
もしも期待して外れだったら、期待した分だけ落胆が大きくなる。
「明日、家族全員で検査を受けるんだと」
「……一致するといいね」
「本当にな」
あきに元気になって欲しい。
だけど、未だに結果の表れない治療に、心の中で不安は大きくなる。
そして、私の不安は現実のものとなった。
「全員、不適合……・?」
あきの家族全員、そして私も念のために検査を受けた。でも、結果は誰もあきの型と一致しないというものだった。
その話を聞いたあきの顔が、動揺に揺れている。
「まだ、骨髄バンクの方も問い合わせているから」
「……はい」
医者は一通りあきの検診をして、病室を去っていった。
この結果に、あきは酷く傷ついたと思う。私でさえ、これだけショックを受けているのだから。
期待してはいけないと思いつつも、心のどこかで明菜ちゃんか明仁さんの型が一致するんじゃないかと思っていた。
それであきが元気になるんじゃないかと思っていた。
でも、現実は厳しかった。
「……なかなか、うまくいくもんじゃないな」
ぽつりと、あきが漏らす。
「あき……」
「真子、ちょっと一人にしてくれないか」
そう呟いたあきは、今にも消えてしまいそうだった。
「あき」
私は立ち上がりながら、その背中に声をかけた。
「私は、一生あきについていく。あきを笑顔にする」
自分でも、何を言っているのかわからなかったし、今にも泣きそうだった。
ただ、今にも消えてしまいそうなあきを、私の元に繋ぎとめておきたかった。


