禍々(マガマガ)しい気配は背後。

あたしの後ろに、いる。

もちろん少し距離はあるけど……それでも震えが止まらない程の、強い力。


頭の中で、本能が警鐘を鳴らす。

『逃げろ』と。


「………………っ!!」

あたしは一つ息を吸うと、恐怖にすくむ足を叱咤して走り出した。