【短篇】鬼ごっこ

男は朝の出来事を鮮明に思い出した。


急に身体が震えてきて、両手で自らの身体を抱きしめる。


「…っ…、俺は…、俺は…。妻を…!」


何故そんなことをしたのか今となっては見当もつなかい。


男が我にかえったときには、そうなっていたのだ。


「俺は…、妻を愛して…いた…。」


ぶつぶつと、言い訳のような理由を何度も男は繰り返し震える。


たまに、凶器に目を移し自分を…、と考えるが行動には移せない。


ああ…!!


これから…俺は…!!


罪の意識と、社会の目を考え男は狂ったように頭を掻く。


………


「っいつからそこにいたぁっ!!」


男は急に叫んだ。


目の前に立っている見知らぬ男に対して。


見知らぬ男は、黒いスーツを着ている。


20代前半ぐらいの容姿で目を細め笑いかけた。