【短篇】鬼ごっこ

男は妻を容赦なく殴っていた。


一体どこにそこまでの仕打ちをする理由があったのだろうか。


「あなたっ!最低ね…。っう…、け…警察に…で、電話するわっ…!!」


妻は男に殴られながら、携帯電話に手を延ばした。


妻は携帯電話を握りしめ、ボタンを震える手で押していくが上手く押せずにかけられない。


男はそんな妻を見て、もうダメだ…、と感じた。

男は世間体に人一倍のこだわりを持っている。


だからこそ、堪えられなかった。


男は台所からギラリと不気味に光る凶器を持ち妻の前に立った。


「あ…貴方…嘘でしょ…。ねっ?落ち着いて…私も…どうかして…いたわ…。」


妻の声など男の脳は受理しない。


ただ、男は凶器を握りしめ―…。


「…っう…」