太陽が真上に昇る頃。


中年の男は、異臭の立ち込める部屋で茫然としていた。


一体、何故こんなことになってしまったのか。


目の前にごろりと横たわる動かない妻を見て思う。


俺か…??


俺がやったのか…??


ふと視線を反らし、手を見れば赤く濡れギラリと光る凶器。


「あ…ま…まちこ…。」

妻の名前を呟いてみるが、反応はかえってこない。


それが意味するところを、男はわかっている。


男は記憶を辿る。


いつだ…?


俺が、まちこを…。


手に握る凶器を投げ捨て、頭を抱え考え始めた。

そうだ…。


今日の朝は、えらく気分が高ぶっていた。


それで…。


男は朝の記憶を再生しだした。