「 手のかかる上司だ 」




俺の肩にぐったりと倒れこんだ
彼女を見下ろしながら、
聞こえないような声で
小さく彼女を叱った。




”他の人と飲みに行ったら
  だめですよ”




と、次の日彼女に言えば、
途端に顔を赤くして、




「 付き合ってもないのに
  束縛なんて、いい度胸してるわね? 」




酷く勘違いをされて、
気付けば、俺達は付き合っていた。




それから二年間。
俺達の関係は”恋人”とは言えないほどに
あっさりしたものだった。




飲み仲間といった方が
それらしい気もしたが、
別にそんなに違いはないだろうと
今の今まで引きずって、
奏多の”二年も付き合ってるなら
そろそろ時期なんじゃないの”
という言葉にのせられて、
俺は彼女にプロポーズをした。