それから四年間。
気付けば俺たちは会社帰りに
たまに飲みに行くような
仲になっていた。




上司の愚痴を聞きながら
飲む酒は味気ない。
気を悪くさせないように、と
常に気を張っているせいか
酔うこともなかった。




「 ねー、ねーってば! 」


「 ・・・飲み過ぎですよ 」




何度か飲みに行っているが、
彼女が”こう”ならなかったことはない。




「 何であっち向いてんの~?
  あたしは上司だぞ~? 」




俺だってバカじゃない。




「 嫌ですよ 」


「 何で! 」




飲みに行くたびに同じことを
言われ、裾を引っ張られ、
仕方なく向けば必ず口を塞がれる。