「 ・・・・・・・気長に待ってるよ 」




そう言って彼女の手を掴めば
自然と指が絡まってきて、
彼女は少し悲しそうな笑顔を
俺に向けた。




「 気長、ってどれくらいですか? 」




言うんじゃなかった、なんて
少し後悔したあと、彼女の少し
意地悪な質問に苦笑した。




「 どれくらいだと思う? 」


「 ・・・1年、とか? 」




もちろん、冗談でそんなことを
言えるような男じゃない。




公園までの短い道のりがひどく
長く感じられたのはきっと、
自分が大人じゃないからだろう。




気持ちだけが焦っていた。
彼女を手放したくない、という
大人気ないそんな気持ちから
逃げようとした俺を行かせたのは
誰でもない、奏多だ。