「 まぁ、頑張って 」
加奈は苦笑しながらあたしに
手を振って、運転席に乗り込んだ
奏多さんに軽く会釈した。
「 じゃあ、行こっか 」
奏多さんのその一言で
車は発進して、バーとは
逆方向へと進みだした。
「 どこに行くんですか? 」
「 バーだよ 」
「 でも、こっちじゃ・・・ 」
「 ちょっと遠回りするだけだよ 」
奏多さんの笑い声が車内に響いて
楽しそうに目を細めた彼が
赤信号で車を停めて、そして
二度クラクションを鳴らした。
何事だろう、と外の人は
車内を伺ってくる。
あたしもその一人で、
奏多さんに冷たい視線を送った。

