溢れ出した疑問は
どれも声にならなくて、
持っていたコップの中に
入っていた水を一気に
飲み干して、
「 嫌いに、ならないでくださいね 」
「 ならないよ 」
あたしは、悠也さんに
最低な話を始めた。
「 お父さんとお母さんはお互い
酔った勢いであたしを作って
その流れで結婚して、
当たり前のようにお互いいつも
浮気してました 」
子どもだったあたしは、
見ているだけだったけど。
「 喧嘩しない仲いい夫婦だって
近所の人にはよく言われたけど
喧嘩するどころか会話すら
ない二人だったんですよ 」
愛想のいい両親だったのは
まだ救いだと言うべきだろう。
二人の背中を見て育ったのに
あたしは変な癖のおかげで
まともな道を歩めている。
「 二人はあたしが中学生になって
すぐに離婚して、すぐに再婚しました。
あたしはそれから一人暮らしを始めて
毎月送られてくるお金だけが
両親との唯一のつながりです 」

