「 ・・・悠也、さん・・・・ 」




”ん?”と、首を傾げながら
あたしの涙を拭って、その視線が
ゆっくりと下の方へ下りて行った。




「 瑞穂ちゃんは、 」


「 ・・・・・ッ 」


「 高校生だったんだね 」




輪郭をなぞって、首筋を這って、
そして冷たい指先が、制服の
ネクタイをそっと解いた。




もうずっと前からあたしは
制服を着ていた。
慧と居たときだって、あたしは
制服だった。




「 入ってもいいかな、瑞穂ちゃん 」




自分の格好を気にする暇もなく
頭の中にはいつだって何かがあって、
だけどそのおかげで、今は
落ち着いていられた。




頭はいっぱいいっぱいで、
余裕も隙間もなくて、
だからあたしは、悠也さんを
部屋に入れて、




全てを、話すことにした。