靴を脱ぎもしないで
壁にもたれかかり、
静かに泣いていた。




親の血が流れているせいだ、と
誰かに言って通じるだろうか。




これはあたしで、あたしの血で、
たとえ気が多いとしても
それは”あたし”だ。




目を逸らせない現実だった。




「 ・・・・・ッ・・・ 」




どうして、こんな・・・・




恋愛はうまくいかないことが
多いんだろう。




”浮気はだめだ”なんて
誰も言ってなんかいないのに、
どうしてあたしは慧と楽しそうに
歩く彼女を見て許せないと
思ってしまったんだろう。




恋愛にルールなんかない。
浮気は、違反じゃない。