「……で?」
涼が横目で私を見て言った。
「え?でって…」
「“ありがとう”。
で、その続きは?」
「続きって…えと、その…」
私が言葉を探していると、涼は小さくため息をついた。
「…ったく、良いよもう。
その代わり、卒業祝いちょうだい」
「え…」
ふと顔を上げた瞬間…
涼の唇が、私の唇と重なる。
ほんの一瞬の出来事に、私は何が起こったのか分からなかった。
「…なに、そのマヌケな顔」
「え、だ、だって…」
マヌケと言う涼を怒るのも忘れるくらい、私はなにがなんだか分からなかった。
だって今、涼と…
私、人生で初めての……
「あと、大学入学祝い」
「!!」
そう言って、もう一度キスされた。
流石に私の頭も、意識がハッキリしてきた。
「ちょ、ちょっと」
暴れ出す私を押さえ込むように、涼が私の体をぎゅっと抱きしめた。
「好きだよ、咲。
これからは俺が、ずっそばにいる」
涼の言葉が、耳元で優しく響いた。
また、涙が出そうになる。
悲しいんじゃない。
私はずっと、この腕に守られてきたんだ。
そう思ったら嬉しくて…
この腕を離したくないと思った。

