「大丈夫かなぁ…」
私と優兄ちゃんはリビングのソファに座り、私はキッチンの方へ視線を向けた。
「優兄ちゃん、お姉ちゃんの料理は覚悟した方が良いよ。
なんせカレーすらまともに作れないから!」
「あはは、知ってるよ。毎回何でか酸っぱいんだろ?」
「そーそー!隠し味とかいって、グレープフルーツジュース入れるから!」
優兄ちゃんは穏やかに笑い、そんなこと気にしていないようだった。
「…….ねぇ、涼、元気?」
私は思い切って優兄ちゃんに尋ねる。
「涼?
あぁ…今は大学の準備でバタバタしてるみたいだよ」
「優兄ちゃん…寂しい?涼が大人になってくの」
年の離れた弟の涼を、昔から溺愛していた優兄ちゃん。
そんな風に優兄ちゃんから愛される涼を、少し羨ましく思った時期もあった。
「そりゃ寂しいよ。最近はますますツレないしなぁ。
でもまぁ、涼があんな性格なのは昔からだし。
いつだったか、咲が家で1人でいる時、熱出して倒れたことあったろ?」
「うん」
覚えてる。
朦朧とした意識の中で、優兄ちゃんがずっとついていてくれた。
“僕がそばにいるから大丈夫だよ”って、そう何度も言ってくれた。
「あの時、涼がずっと咲のそばにいて離れなかったんだ。
咲が死んじゃうんじゃないかってベソかいてさ」
「え……」
可笑しそうに話す優兄ちゃんを、私は目を見開いて見た。
あれは…優兄ちゃんじゃなくて涼だったの…?
「でもその頃を境にだったかな…。
涼のやつ、あんまりワガママ言わなくなって、
嫌いな食べ物も我慢して食うようになった。
“早く大きくなって、僕が咲ちゃんを守るんだ”って言ってたな」
“僕はそんな涼が、可愛いくて可愛いくて仕方なかったんだけどな”
優兄ちゃんはそう笑って言った。

