「……それって、俺じゃダメってこと?」
涼が静かに聞いた。
私は涼の顔を見ることが出来なかった。
「ダメも何も、大学に行けばたくさん出会いがあるんだから、
可愛い子だって絶対いっぱいいる。
涼はモテるんだから、私なんかじゃなくてそういう子との方がうまくいくよきっと」
「……わかった。もういいよ」
涼はそう一言つぶやくと、行ってしまった。
私に背を向けて。
一度も振り返ることなく、その背中はやがて暗闇の中に見えなくなった。
……涼を、傷付けた。
私はまた、涼の気持ちから逃げたんだ。
嬉しかったのに…
涼から好きだと言われて、本当は嬉しかったのに…
私が好きだと言う涼の気持ちが信じられなかった。
大学生になって、他の女の子を見たら、
“やっぱり同じ年の子が良い”って…
“他に好きな奴が出来た”って、
そんな風に言われる日が来るんじゃないかって…
私は自分が傷付きたくなくて逃げたんだ。
……ダメだなぁ、私って。
何にも成長してないや。
まさか自分が、こんなにも弱虫だなんて…
想われることも想うことにも、こんなにも不器用だなんて…

