…な、なんなのよ、もう。
昨日、私は涼の気持ちから逃げたのに…
なんで涼はそんな平気そうなの?
何もなかったみたいに、なんで“好き”とかそんな簡単に言えるのよ。
涼はまだ高校生で、
涼は私より5歳も下で、
ずっと、生意気な弟みたいな存在だったのに………
“俺、咲以外の女に興味ねぇから”
………涼が、“男”に見えた。
----------
-------------…
私の気持ちをかき乱したまま、時間だけが過ぎていく。
気付いたら、3月に入った。
季節はもう目の前に、春を迎えようとしている。
優兄ちゃんとお姉ちゃんの結婚式は、3月末に日取りが決まった。
親族だけで行う、ささやかな挙式。
安定期に入ったら、お姉ちゃんは優兄ちゃんと一緒に暮らし始める。
優は相変わらずだった。
ただあれ以来涼は、たまにだけど私を会社に迎えに来てくれる。
“受験も終わって、どうせヒマだし”と言い訳みたいなこと言って、
“咲がまた、大人の付き合いをするのを防ぐため”と言った。
……もうしないのに。
大人の付き合いなんて、私は最初から知らないもの。
私は黙っていた。
「あれ、涼」
会社の外に立つ涼の姿を見つけ、私は慌てて駆け寄った。
「今日卒業式でしょ?今日は来なくて良かったのに…」
「そんなの午前中で終わったし」
「だっておばさんたちと食事とか…お祝いするんじゃないの?」
「そんなガキじゃねーんだから。
それに今は、兄貴たちの結婚式の準備でそれどころじゃないよ」
「そっか、もうすぐだもんね…」
私たちは、並んで歩きだした。
「卒業おめでとう、涼。
涼ももう大学生かぁ…。家から通うの?」
「うん…まぁ通えないわけじゃないし、
兄貴もいないし、親父も仕事でほとんどいないから、母さん1人にしとくの心配だしな」
「涼って意外とお母さん子だよね。
優兄ちゃんよりちゃんとおばさんのこと考えてそう。
あ、マザコンって意味じゃなくてね?」
「咲」
私が笑っていると、突然涼が真剣な声で私を呼んだ。
涼が立ち止まって、私を見る。
その瞳に、私の心臓は早くなった。
昨日、私は涼の気持ちから逃げたのに…
なんで涼はそんな平気そうなの?
何もなかったみたいに、なんで“好き”とかそんな簡単に言えるのよ。
涼はまだ高校生で、
涼は私より5歳も下で、
ずっと、生意気な弟みたいな存在だったのに………
“俺、咲以外の女に興味ねぇから”
………涼が、“男”に見えた。
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私の気持ちをかき乱したまま、時間だけが過ぎていく。
気付いたら、3月に入った。
季節はもう目の前に、春を迎えようとしている。
優兄ちゃんとお姉ちゃんの結婚式は、3月末に日取りが決まった。
親族だけで行う、ささやかな挙式。
安定期に入ったら、お姉ちゃんは優兄ちゃんと一緒に暮らし始める。
優は相変わらずだった。
ただあれ以来涼は、たまにだけど私を会社に迎えに来てくれる。
“受験も終わって、どうせヒマだし”と言い訳みたいなこと言って、
“咲がまた、大人の付き合いをするのを防ぐため”と言った。
……もうしないのに。
大人の付き合いなんて、私は最初から知らないもの。
私は黙っていた。
「あれ、涼」
会社の外に立つ涼の姿を見つけ、私は慌てて駆け寄った。
「今日卒業式でしょ?今日は来なくて良かったのに…」
「そんなの午前中で終わったし」
「だっておばさんたちと食事とか…お祝いするんじゃないの?」
「そんなガキじゃねーんだから。
それに今は、兄貴たちの結婚式の準備でそれどころじゃないよ」
「そっか、もうすぐだもんね…」
私たちは、並んで歩きだした。
「卒業おめでとう、涼。
涼ももう大学生かぁ…。家から通うの?」
「うん…まぁ通えないわけじゃないし、
兄貴もいないし、親父も仕事でほとんどいないから、母さん1人にしとくの心配だしな」
「涼って意外とお母さん子だよね。
優兄ちゃんよりちゃんとおばさんのこと考えてそう。
あ、マザコンって意味じゃなくてね?」
「咲」
私が笑っていると、突然涼が真剣な声で私を呼んだ。
涼が立ち止まって、私を見る。
その瞳に、私の心臓は早くなった。

