“俺、咲が好きだよ"
なんだろう…
涼の声を思い出すと、胸が締め付けられるみたいに痛い。
他の人に言われた時とは違う。
“好き”だと言われるのが、こんなにも苦しいなんて…。
帰る時、会社の外に涼の姿はなかった。
まさか昨日あんなことがあって、今日も迎えに来てくれてるとは思ってなかったけど…
なんとなく外に、涼が待っていてくれる気がしたのだ。
昨日考えてみたら、私は涼から逃げるように帰ってしまった。
迎えに来てくれた涼を置いて、1人で帰ってしまった。
いくら混乱して驚いてしまったからと言って、
高校生の涼をあんなとこに置き去りにして、私の方が大人なのに…最低。
きっと涼、怒ってるよね。
帰ったら、謝りに行こうかな…。
そしたらまた昨日のみたいに、好きだって言われるかな……
「……ごめん」
家の前に近づいたところで、私は思わず足を止めた。
涼の家の玄関の前で、
涼と、女子高生が向き合って立っている。
「なんでダメなんですか?!
私、ずっと好きだったんです!
音羽君、彼女いないんでしょう?だったら…」
……!!?
まさか涼、告白されてる?!
私は思わず、電柱の陰に身を隠した。
女子高生がこちらに背を向けていて、その子が盾になっているおかげで、
私の姿には気付かれていない。
「…ごめん。俺、好きな人いるから。」
涼は、そう表情を変えずに言った。
「好きな人って?!他の高校の子?!
でも彼女じゃないんでしょう?
それなら…片想いなら私でも…」
女の子の方は驚くほど積極的だった。
イマドキの子ってああなのかしらと、感心してしまう。
…あの子は本当に、それくらい涼のこと、好きなんだ…
「俺、その人って決めてるから。
他の女には興味ない。」
涼のその言葉に、私の心臓は飛び跳ねる。
何も言わず、女子高生はその場から走り去ってしまった。
私の横を通り過ぎた時、一瞬彼女の表情が見えた。
すごく可愛い子。
だけど、その瞳にはうっすらと涙を浮かべていた。
「覗き見なんて、趣味悪いな」
「ぎゃぁー!!」
突然涼に声をかけられ、私は驚きすぎて口から心臓が出るかと思った。

