うそ………
涼が、私のことを好き?
小さい頃からずっと?
うそよ、そんなの…絶対、冗談に決まってる。
だけど、あんな真剣な目をした涼、初めてだ。
“俺、咲が好きだよ”
……やだ。
涼が、私の知ってる涼じゃないみたい。
涼が…まさか、あんな……
心臓がドキドキしすぎて痛いくらいだった。
優兄ちゃんを想う時とは、全然違う痛み。
こんな痛み、私は知らない。
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翌日。
出社すると同時に、ミカが興奮気味に駆け寄ってきた。
そうだ。
ミカは私が林田さんとどうなったか気になってるんだ。
私は、もうそれどころじゃないんだけど……
「ちょっと咲!!」
「おはよう、ミカ。昨日のことなら…」
「あの美少年は一体誰よ?!」
「….え?美少年?」
てっきり林田さんとのことを聞かれると思っていた私は、
予想していなかったミカの言葉に頭を巡らせる。
「昨日、咲と林田さんが帰った後、美少年があんたのこと訪ねにきたのよ!
会社の人とデートよって言ったら、すごい剣幕でどこに行ったか聞かれて…
だから多分有楽町辺りじゃないかって言ったんだけど…」
……もしかして、涼が?
それで私のこと探し回って……
「で?!誰なのあの美少年は!!」
ミカがずいと前のめりで聞いてくる。
「びっ、美少年かはわからないけど、幼馴染よ、幼馴染。
優兄ちゃんの弟だよ」
「優兄ちゃんの弟?!
弟があれなら、優兄ちゃんもきっと相当ね。
そんなレベル高いのが2人も近くにいたら、そりゃ咲も彼氏できないわ!」
ミカはひとり納得したのか何度も頷いた。
「ちょっとやめてよ、大きな声で!
それに涼はまだ高校生だよ?そんな風に考えたこと…」
「でも彼はそうじゃないと思うわよ?」
「え…?」
「あの子昨日、ホントに心配して咲のこと探してた。
咲のこと、すごく大切に想ってるのね」
「………」
……涼がそんな…本当に……?
私のこと心配して、また迎えに来てくれてたの…?
「そういや咲、昨日大丈夫だった?
林田さん、総務と人事の女の子も狙ってるって噂聞いて…」
ミカの声など、もう入って来なかった。
林田さんのことなんて、もうどうでもいいくらい。
ただ、涼の言葉だけが、何度も私の中でこだまする。

