バレないようにしてたのは私の方なのに、
これっぽっちも伝わっていなかったなんて、
優兄ちゃんは私のこと、少しもそういう目で見たことないってことなんだね。
「喉渇いた!」
私はスクっと立ち上がると、部屋を出た。
「おい!」
キッチンへ行こうと、階段を降りる私の後を涼が追ってくる。
「待てよ」
「何よ、まだなんか…」
リビングのドアを開けようとして、その手が止まった。
中から、優兄ちゃんの声がする。
そっと覗くと、リビングでは優兄ちゃんとお姉ちゃん、そしてお母さんが談笑していた。
「本当、美菜子は何するかわからないからねぇ」
「ひどい、お母さん!私だってやれば出来るのよ」
「優君、こんな娘だけどよろしく頼むわね。」
お母さんが優兄ちゃんに向かってそう言った。
「美菜子は、僕がそばにいなくちゃ駄目だから」
「優ちゃん、それじゃ私が優ちゃんがいなきゃ何も出来ないみたいじゃない」
「そうだろ?実際」
「そんなことないよ〜」
3人の笑い声が、どんどん遠くなってゆく。
私はゆっくり、リビングのドアノブから手を離した。
「おい、咲!」
私はたまらず玄関に向かって、外に出た。
「どこ行く気だよ」
「コンビニ!ていうかほっといてよもう」
「上着も着ずに、バカかお前」
涼が私の腕を掴んで離さない。
凍えそうな冬の夜。
無防備な私に、優は自分のコート脱いで私の肩にかけた。

