「ちょっと、ノックくらいしなさいよ」
私はベットから起き上がると、涼を睨んだ。
「いくら幼馴染だからって、23歳の女の子の部屋に勝手に入ってくるなんて!
なに?何か用?優兄ちゃんならまだ下にいるでしょ」
私が怒ってるのをよそに、涼は黙って私のベットに腰を下ろす。
「な、なに…」
「別に……咲が泣いてんじゃないかと思って」
「え?」
私は驚いて顔を上げた。
涼は何を考えてるかわからない目で、まっすぐに私を見つめる。
その視線に何もかも見透かされそうで、私は思わず瞳をそらす。
「な、何言って…何で私が泣かなきゃいけないの?
まさかお姉ちゃんと優兄ちゃんが結婚しちゃうのが寂しくて、泣いてると思ったわけ?
やめてよ、子どもじゃあるまいし。
お姉ちゃんが結婚出来て、私も嬉しいもん。相手が優兄ちゃんなら、私も安心だし。
だけどお姉ちゃんがママになるなんて、涼も心配じゃない?
だってお姉ちゃん、今朝も階段から転げ落ちて…
もう、1人の体じゃないのに…」
「咲」
「うっ…」
涼が私の名前を呼んだと同時に、私の瞳からは涙が溢れだした。
その涙は止まることをしらず、次から次へと溢れだす。
「うぅ〜…」
“結婚しちゃ嫌だ”
…そんなこと、本気で思ってるわけじゃない。
だけど…
心から“おめでとう"って言うことが出来ないなんて…
最低だ、私。
お姉ちゃんに、嫉妬してる。

