自分でも、もう決めたんだ。


沙知と、別れようと・・・

いつまでもこんな曖昧な関係は沙知を傷つけるだけだ。

なら、俺が沙知を裏切ったと事にして、嫌われたら・・・


それが一番いいんだ。


沙知を裏切った最低な彼氏。


そう演じよう。


その方が俺も楽になる。


ごめんな、沙知。


俺はお前が好きだから別れるんだ。

好きだから・・・




人影のない校舎を後にすると、校門に女が立っている。

茶色い髪は腰まであって、ウェーブがかかってる。

背丈は長身で、・・・これはハルカだ。


「あ、俊太郎ー待ってたよー!」

ニッコリ微笑み大きく手を振るハルカ。


こいつは外見は美人だと思う。

だから男子の注目の的だ。


でもこいつのひんまがった性格は俺しか知らない。


「早く俊太郎んち行きたいなぁ」


ハルカが俺にべっとりとくっつく。

ローズの香水が強烈で鼻につく。


でも沙知は違う。


ほんのりフローラルの香りがして、物凄く落ち着いて・・・


店のガラスに2人の姿が写る。


ハルカは俺の視線の高さ。


でも沙知は違う。


俺の肩より低くて・・・そんな姿が可愛くて・・・