「シュン、シュン!?」

「っ・・・
泣くなよ・・・」



ノゾムの手を握る力が強くなる。

コイツ・・・あったけー。



「しゃべんなよ・・・。
生きろ、・・・死ぬんじゃねぇ!!
お前なら、平気だよな??
いつも俺らピンチ乗りきったもんなぁ?
沙知ちゃんどうすんだよ・・・っ
お前がいなかったら、沙知ちゃんどうすんだよ!」






ノゾムの泣き顔見るの、初めてだ。

ノゾムと俺は戦友だった。



どんな喧嘩だって、二人で乗り越えた。

唯一、何でも言い合えるダチ。



お前との日々、忘れかけてた。

高校入学してすぐ、俺が3年にからまれて。



4対1でボコボコにされた時、
庇ってくれたよな。



俺が沙知に片想いしてるの知って、
協力してくれたよな。


ごめん、俺知ってたんだ。




お前が沙知を好きだった事。



お前がいつも見てるのはナナじゃなくて
沙知だった。

それを知りながらも俺は沙知と付き合った。



辛かったよな。

俺が無理矢理ナナと付き合せたんだ。



今はナナに一途だと思うけど、
まだ沙知を見てるのも知ってる。



本当に悪かった。


「っ、・・・シュン」




どんなに喧嘩しても。
どんなに哀しい映画見ても。

いつだって泣かないノゾムが・・・



こんなときに泣くんだな。