「尚、ゆっくりでもいいから私に話して?」

私は尚の手を握った。


あなたの力になりたい。

貴方の心の闇に光をあてたい。




「俺・・・
昨日佳奈絵の墓に行ったんだ。
偶然、佳奈絵の母さんがいて、
・・・手紙渡されて」


この前尚が佳奈絵さんの命日って言ってたよね。


手紙を私に差し出す尚。



「佳奈絵が死ぬ前に書いてらしい。
・・・俺、読めなくて」


尚の体が震えだす。

私はすかさず抱きしめる。




「読まないときっと後悔すると思う。
辛いかもしれないけど・・・
思い出しちゃうけど・・・
佳奈絵さんの気持ち、受け止めよう?」


尚は小さく頷いた。


「沙知が・・・、読んで」


私は手紙を受け取る。

尚の気持ち、
佳奈絵さんの気持ち、

しっかり受け止めました。



白い封筒には、
達筆な字で“尚へ”と書かれてる。



便箋の文字は、
涙でインクが滲んでた。


佳奈絵さん、辛かったんだね。


「・・・読むよ」

私は息を吸うと、
手紙を読んだ。