「何それっ、最悪」

「まさか、シュンがあたしたちを裏切るとは」


シュンに別れを告げられた事をナナとユキに話した。

私は涙をこらえて、唇を噛み締める。


「って事は、シュンは沙知と付き合いながら、山田ハルカに浮気してたって事でしょ!?
・・・絶対許さない」


ナナは机に顔を伏せてしまった。

指が震えてる。


ナナがこんなに思っててくれたなんて、



そうか。シュンは私だけじゃなくナナたちの事も裏切った。

ノゾム君とも絶縁状態。


あなたは何を考えているの?



ナナとユキは放心状態になっている。

こんな事になるなら言わなきゃよかった。


ごめんね。



「・・・沙知は平気なの?つらくないの?」



ユキが顔を覗かせる。

私はふるふると首を横に振る。


優しくしないで。



また、思い出してしまう。


あなたの優しさにかぶってしまう。


つらいに決まってる。



あんなに大好きだった人、愛した人。

忘れられるわけがない。


気がつけば、また涙が頬をつたう。



どれだけ泣いたって、記憶からあなたを消す事なんてできない。


「あたしたちが、・・・守るから、
沙知を守るから・・・」

ユキが私を抱きしめる。


「ナナ、ユキ。・・・っ、ありがとう」



私は弱い人間です。

だから皆がいないとダメなの。



本当に本当に、ありがとう。