慌ただしい出会いの時期も過ぎ、5月を迎えいろいろ落ち着いて来た世間の人々を尻目に俺は親友を目の前にして意気揚々としていた。

「今日は大事な話がある」

親友の机を手のひらで叩く、乾いた音が教室中に響いた。

何人かクラス奴らがこちらを見ているが俺は気にしない。

何故なら今日はこの俺、坂上秋人(さかがみあきと)一世一代の大発表をするからだ。

「何だ?ついに俺と付き合う事にしてくれたのか?」

断じて違う!
この気持ち悪い発言をしたのが俺の親友、工藤心(くどうしん)一応言っとくがれっきとした男だ。

心を無視して俺は続ける。

「ふふふ、聞いて驚くなよ!この坂上秋人、17歳にして初めて彼女が出来たんだ!」

中学の時から言いたかった台詞をやっと言えたぜ……あれ、目が霞んできた。

そんな感動してる俺を他所に心は心底驚いた表情をしている(ダジャレじゃないぞ!)。

暫く黙ってた心が口を開く。

「遠回しな告白だな。なるほど、今から俺がお前の彼女になるって事だな……悪いけど少し考えさせてくれ」

だから違うって!てか考えないでくれよ……。

こうして俺の一世一代の大発表は親友のせいで台無しになった。