県境の緑に濁った川は、 ゆったりと流れている。 じっと見つめても、 どちら側に流れているのかわからない。 ただ、 どちらかは海で、 川は海のほうに流れていくんだろうという事は知っていた。 川にかかった橋の上を、 引っ切りなしに電車が通り過ぎていく。 川辺にはススキと雑草の茂みがあって、 ゴミだらけだった。 私は、そこにいた。