レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

鈴恵さんは、母さんよりも…母さんに近いかもしれない。

俺の血を分けあった母親は確かにただ一人だけど。


俺と母さんは、離れ過ぎていたんだろうね。
それが、あんな惨事を引き起こしたんだよね。



ずっと一緒にいて。
あの男が来たなら。

もっと違う対応があったのかもしれない。



…………もう、全て後の祭りだけれども。




「……食べる」

俺が鈴恵さんにそう言うと、鈴恵さんは嬉しそうに微笑んだ。


たった、これだけで喜んでくれるんだ。



しょうや、あんや、皆が作ったハンバーグはとっても美味しかった。
塩、胡椒のシンプルな味付けだけど、どこの料理屋よりも美味しいと思う。


全部平らげた俺がお皿を下げようと立ち上がると、鈴恵さんがそれを阻止した。


「伊織、いいから皆でお風呂入って来なさい」


「え?でも、片付けぐらい…」


「いいの、いいの!たまには甘えなさい」


「………はーい」


渋々だったけど、頷くと俺は皆とお風呂に入った。