レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

「…聖、言い過ぎじゃね?」


さすがにそう思った俺は聖に言うが、聖は無表情で。

「あーやって色々な男に声かけたりする奴嫌い。
きっと簡単に股開くよ」


「……………」

もう、何も言えなかった。

腹黒いのはわかってたつもりだったけど、聖がこうもはっきり“誰か”に毒吐くところ見たことがない。

愚痴は聞いてたけど、誰かいても千里ぐらいだ。


大体、愚痴は客のことだったからこんな姿を見たことがない。
だから、正直かなり驚いている。

「あっ、伊織、俺見たい洋服あったの。
後で行ってくれる?」


「ああ、うん」


何もなかったかのように笑う聖。



ちらほらと。


聖の本性の断片が見えていたのに。

疑うことなく、俺は聖を受け入れていた。



だって。



どうやったら、昔の仲間を急に疑うことが出来るんだ。


心の内に潜む、悪魔な顔なんて見ただけじゃわからないじゃないか。



俺は。
信じたかったんだ。



だって。



昔の俺のことを知ってる奴は少ないから。