レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

結局、そのケーキ屋に入った俺と聖。

周りを見渡すと、女の子ばかりで気まずい。
男もいるけど、彼女連れ。

…聖はそんなん気にならないみたいでメニューを見て目をキラッキラさせている。

「……なあ、伊織」


「え?」


「………ミックスタルトと、ガトーショコラどっちがいいかな」


「…………2つ食べたら…?」


「………うう、そうしようかな。やっぱそうするべきかな。
……」



また、メニューを食い入るように見つめる。

そこに注文を取りに店員がやって来る。
聖はまだ悩んでいるようだから、先に頼む。


「俺、ブレンドコーヒー」


「はい、ブレンドコーヒーですね」


「………………聖は?」


「え?」


「聖、注文」


俺と店員を交互に見つめて、ああ、注文と頷く。
店員が来たことにも気付かないって、どんだけだよ。


「ねえ、お姉さん。
オススメ何?」


「オススメならベイクドチーズケーキですかね」


「……チーズケーキ!うん、じゃあそれ!と、紅茶!ミルク入り!」


「はい、かしこまりました」


店員がいなくなった後、聖は満足そうに鼻歌を歌いそうな勢いで微笑んでいる。

幸せそうで何より。