バイクを止めて、鍵を取った俺は聖の元へ真っ直ぐ歩いた。


「聖」

声が届くぐらいまで近付くと、俺は聖に声をかけた。

その声に気付いた聖は顔を上げる。
俺の顔を見て、笑顔を溢す。


「伊織っ!久しぶり!」

今にも俺に抱きつきそうなテンションだ。

「久しぶり」


「うっわ~変わらないね!」


「聖も相変わらずだな」


「そう?あれから少しだけ身長伸びたんだよ?」


「嘘?そうか?」


茶化すように笑うと、聖は頬を膨らませる。

「もー、伊織相変わらず意地悪!
いいもん、別に俺彼女出来そうだし」


「まじ」


まあ、いてもおかしくないよな。
俺と違って、聖は誰とでも打ち解けられる性格をしているし。


「まあ、立ち話もなんだし、どっか入ろうよ」


「ああ、そうだな」


「……ねえ、新しく出来たケーキ屋行っていい?」


「………まだ、甘いもん好きなの?」


「あっ、バカにしたろ?!甘いモノは別腹なんだからなっ!」


「…………」


何か、違う気がするけど。